二等航空運航整備士の受験記録
2017/5/1
韮崎市航空協会から費用の半額補助を受けられるということで整備講習会を申し込んだ.板倉の整備講習会は1回目が基礎講習,2回目が実地試験受験準備+実地試験となっていて両方受けることになっている.
5/4-5
整備講習会が行われた.参加者4人.講師は今年から吉元師匠(元エアライン整備士)に代わって山木さん(耐空検査員)になった.
講習内容は自習に必要な資料の解説,ネジ締めと計測の実技,PW5の組バラシ.
7/22
学科試験.一夜漬け
8/15
実地試験は2人ずつ受けるため,先に受験するペアの試験手伝い&見学に行った.口述試験は見られなかったが,ネジ締めと電気計測と飛行前点検の実技は遠巻きに眺めることを許された.
山木さんに講師が変わり,航空局と調整してネジ締めはこれまでのインチネジからミリネジに変更されていた.また受験機はPW5からDiscus2に変更になった.理由は組みやすいのと常識的な設計でわかりやすいから.
後でオーラルの内容も教えてもらったが,ふたりとも二等航空整備士まで取得予定のためかオーラルは割りと容赦なくGBの内容を細々と聞かれていた.
8/17
学科試験合格発表
10/15
実地試験の勉強開始.過去問を眺めつつGBを読み始めた.
10/16-20
家だと誘惑が多いからラボで研究せずにひたすら自習.
GB,もらった自習用資料,サーキュラー,航空法,メンテナンスマニュアル,飛行規程を読み漁って7時間/day位勉強した.
10/21-22
実地試験受験準備.初日は機体組みとネジ締めと電気計測の実習.夕食はとんかつを奢ってもらった.2日目も同じような内容と模擬オーラル(法規).
事前に山木さんが航空局と調整し,オーラルの出題内容をグライダー向けに変えてもらうよう頼んであったらしいが,実際は試験官は実施要領に従わないと規則違反になるためか,内容はあまり変えられないようだ.一方で山木さんは使える整備士育成のためにグライダーにまるで関係ない内容は削り,講習では実際のグライダー整備を前提に教えるという思想のため,現実のオーラルとのギャップは受験者が身をもって埋める羽目に…(後述)
10/23
実地試験.朝に台風が直撃したため電車が遅れ試験官は11時過ぎに到着.試験は法規~昼食~専門~締結~電気計測~ベンチ作業~機体の順で行われ,17時過ぎまでかかった.
オーラルは受験者2名にそれぞれ順番に質問する流れで行ったが,法規の最初に「航空法の目的」について質問された他の受験者が「航空法の意義」を延々と答えてしまったために,自分の番になって「では航空法の意義は何ですか」と質問された時に違うことを答えようとして最初からつまづいてしまった.その後もサーキュラーの体系とか航空従事者の定義とか細かい箇所まで覚えていないところに限って質問され,ダメダメだった.
専門はアルミ合金のそれぞれの特徴とかチタンの特徴とか詰まる所はあったもののそれなりに答えられたが,他の受験者(文系)はかなり苦労していた.よろしくない回答を続けてドツボにはまりこみ,途中から試験官が怒り出して,空力加熱のことを答えさせたいのか,「250km/hで飛行するグライダーの主翼は温度が上がる?下がる?」などと理不尽な質問をし始めた.
締結はノギスの精度管理が行われていないなど,聞いたことのない箇所で炎上して謝り倒しだった.割りピンの径を測る時に適当に測ったふりをしたら普通にバレた上にごまかすのにも失敗した.キャッスルナットからボルトのネジが2山出ていないことにも気付かず,これは落ちたかと思った.電気計測も理不尽な怒られが発生したが,もはや冷静に反論しても心証を悪化させるだけだと考え謝り倒した.
ベンチ作業は山木さんの私物の高級な工具類(大体BAHCO)が並べられていて,それぞれについて質問を受けたが,ヤスリの目が見たことのない特殊な目だったり,弓のこの刃の向きをよく確認しなくてもいいように,ご親切にも矢印のマーキングが付いていたりと地雷が散りばめられていた.
機体の項目に移る頃には17時過ぎており,組みは省略で大急ぎで飛行前点検のふりをした.自分には当たり障りのない質問ばかりで助かったが,他の受験者には「ブレーカーの内部構造について答えよ」などと無茶振りが飛んできてまた炎上した.
至る所で多様な炎上があったものの,講評では「ちゃんと勉強し直してレポート出したら許す.今日は一応合格としておく.ありがたく思え.」というような感じで合格させてくれた.
感想としては講習会は大して役に立たなかった.教官が法規に詳しくない上,実技も炎上ポイントを抑えていないために,用意してくれた資料も色々不足だった.試験以外で試験官は派遣してくれないだろうから,同じくらい実地試験に詳しい人を呼んで講習会をやって欲しい.